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関東においては緩和ケア病棟の発足は関西よりもずっと遅れた観があります。しかし「死の臨床」や「ホスピス・ケア」についての研究会は1978年から日本大学の岡安大仁教授やナースの季羽倭文子さんらにより研究的に行われ、埼玉県立がんセンターの武田文和総長は、早くからWHOのコンサルタントとしてペイン・コントロールの先駆者としての啓蒙運動に熱心に取り組まれました。
これらの緩和ケア病棟はすべて病院の中に作られたものですが、1993年には私が理事長を務める財団法人ライフ・プランニング・センターでは、一般人からの寄付と日本財団や神奈川県下からの援助で独立型ホスピス「ピースハウス」を設立しました。その後急速に各科の学会や看護学会で死の問題やQOLが参加者によりとりあげられるに至っています。

 

関連学会、研究会等の発足

今日、日本には会員2,000名を有し、19年の歴史をもつ「死の臨床研究会」のほか、全国ホスピス緩和ケア病棟連絡協議会、サイコ・オンコロジー学会、日本臨床死生学会、日本がん看護学会、日本緩和ケア学会などがあり、また一方、1988年に発足した日本生命倫理学会は、医師以外の生命倫理に関心を示す哲学者、宗教家、社会学者などさまざまな分野の専門家がQOLに関する研究や学習を行っています。
なお、長年米国で心臓外科医として活躍された当セミナーの講師広瀬輝夫ニューヨーク医科大学元教授には、日本の医療関係者のためにQOLについて国際的立場から解説された文献があります。3)
1988年には大阪でQOL研究会が医師、看護婦、社会学者、哲学者を中心に結成され、これはその後関東に及び、次第に全国化されつつあります。この会では、臨床研究におけるQOLの評価方法、治療医学や薬物療法におけるQOLの問題が学問的にとりあげられ、一般臨床家の関心をひきつけつつあります。
日本ではがん告知についてのインフォームド・コンセントはまだ約20%を出ないのが現状です。これは日本人の家族制度との関係や、死に関する社会的認

 

 

 

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